第7話:「文武両道」の定義が、家庭によって全然違う

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保護者会の帰り道、何人かの母親が駐車場で立ち話をしていた。

「うちはやっぱり文武両道で行かせたいんですよね」

Uの母親が言った。

「そうですよね、サッカーだけじゃなくて勉強もちゃんとしてほしいですよね」

Vの母親が頷いた。

「うちも同じです。サッカーと勉強、どっちも頑張ってほしくて」

Wの母親も言った。

三人とも「文武両道」という同じ言葉を使っていた。でも、少し話を聞いていると、全員が違うことを言っていた。


Uの母親が考えている「文武両道」は、いわゆる有名難関大学の附属高校のイメージだ。サッカーも強くて、勉強もできる。内申は最低でもオール4以上、当日の学力試験も必要。サッカーの実績だけでは入れない。本当の意味で両方を高いレベルで求められる環境。

Vの母親が考えている「文武両道」は、スポーツクラスのある私立高校のイメージだ。難関大学への進学実績は豊富であるが、スポーツクラスの存在はあまり表に出ていない。表向きは進学校で、文武両道を掲げている。ただスポーツクラスはオール3前後で入れる。一般クラスとは別の基準がある。サッカーの実績があれば、顧問同士のパイプで話がつく。

Wの母親が考えている「文武両道」は、もう少しシンプルだ。強豪校に推薦で入れて、そこでサッカーを頑張ってくれれば十分。勉強は「ちゃんとやってほしい」という気持ちはあるが、内申はオール3なくてもサッカー推薦で入れるなら問題ない。

三人とも「文武両道」という言葉を使っていた。でも求めている内申も、入り方も、高校のレベルも、全部違った。


その場に、Uがいた。

母親たちの話を聞きながら、ボトルの水を飲んでいた。

Uはオール4以上をキープしている。練習後に帰って、22時から勉強する。定期テストの前は睡眠を削って問題集を解く。それでもまだ足りないと感じている。

VはオールB3くらいだ。スポーツクラスを考えているから、それで十分だと言っていた。「俺、内申とかあんま関係ないし」と言っているのをUは聞いたことがある。

Wにいたっては、内申の話をほとんど聞いたことがない。推薦が取れればそれでいい、という雰囲気だ。

同じ「文武両道」という言葉の下で、全員が違う重さのものを背負っている。

Uはそのことを、誰にも言ったことがなかった。


帰りの車の中、母親が

「保護者会どうだった?」

と聞いた。

「俺らは聞いてるだけだし。普通」

とUは答えた。

「みんな文武両道って言ってたけど、うちはちゃんと両方頑張ってほしいからね」

「うん」

Uは窓の外を見ながら思った。

みんな、文武両道って言ってる。でも、みんな違うことを言ってる。

そして自分だけが、その言葉の重さを一番重く受け取っている気がした。


目次

グラウンドの外から、筆者が思うこと

以下は、指導者経験と保護者経験の両方を持つ筆者の個人的な見解です。正解は一つではないと思っていますが、参考になれば。


「文武両道」ってそもそもどういう意味で使えばいいの?

正直、人によって全然違います。「サッカーも勉強も頑張る」という漠然とした意味で使われることが多いですが、実際に求められる水準はチームや家庭によってまちまちです。

早慶のような難関大学の附属高校を目指すのか、スポーツクラスのある私立を目指すのか、サッカー推薦で入れる高校を目指すのか。「文武両道」という言葉を使う前に、具体的にどのレベルを目指しているのかを家族で話し合っておく方がいいと思います。

スポーツクラスと一般クラスで内申基準が違うのはおかしくないの?

違和感を感じる方がいることも理解しますが、各高校が設け、公表もされている仕組みですので、おかしいものではありません。同じ高校の看板を掲げながら、入り方によって求められる水準がまったく違う、というのは確かに分かりにくい。

「文武両道の進学校」というイメージで入ったのに、実態はスポーツクラスで勉強のハードルが低かった、という話はよく聞きます。入学前に一般クラスとスポーツクラスの違いをしっかり確認しておくことをお勧めします。

同じチームで内申の目標が全然違う子が混在している。それで問題ないの?

問題はないですが、温度差は生まれます。オール4以上を維持しながら練習も続けている子と、内申をほとんど気にしていない子が同じ練習をしている。その温度差を子供自身が感じ取っていることは多いです。

親としてできることは、他の家庭と比較せず、我が子の目標に必要なことを粛々とやること。「あの子はいいな」という言葉が、子供のモチベーションを下げることがあります。

本当の意味での文武両道を目指すなら、何から始めればいい?

早めの内申対策と、高校の入試基準の把握です。「文武両道」を掲げる高校でも、スポーツクラスと一般クラスで基準が違うことがある。まず志望校の内申基準を調べて、今の内申との差を把握する。その上で、何をいつまでにやるかを逆算する。サッカーの練習スケジュールを見ながら、隙間時間の使い方を家族で考えておくことが大事です。

登場する人物・団体はすべてフィクションです。でも、完全な作り話でもないかもしれません。

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この記事を書いた人

教員免許(中高保健体育)を持つ40代の元サッカー指導者。自身もトレセンにひっかかるくらいには経験があり、大学ではサッカーの試合における”流れ”をテーマに研究。息子がジュニアユースでプレーしたことをきっかけに、首都圏のJ下部・街クラブ・中高サッカーを徹底調査。その備忘録として本メディアを開設。

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