第6話:運動会も、テスト勉強も、後回しにしてきた

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9月の第2週。Tのクラスでは運動会の準備が始まっていた。

放課後、クラスメイトたちが体育館に集まって、フォーメーションを確認している。Tはその輪の中にいなかった。練習があるから、と伝えて先に帰った。

「またいないじゃん」

誰かがそう言ったのが、廊下に出る直前に聞こえた。聞こえなかったふりをした。

グラウンドに着いてボールを蹴りながら、Tはぼんやりと思った。

運動会の係、何だったっけ。参加種目は…たしかリレーの選手だった気がする。

でも練習に参加できていないから、走る順番もバトンの渡し方も、よく分かっていない。

当日、何とかなるだろう。毎年そうしてきた。


10月の中旬。定期テストまで2週間というところで、チームのスケジュールが貼り出された。

テスト前日まで、練習が入っていた。

Tは表を見ながら、頭の中で計算した。数学の進みが遅い。英語の単語も覚えきれていない。このままでは間に合わない。

「テスト前、少し練習減らせませんか」

言えなかった。先月、別の選手が同じようなことを言いかけて、コーチに「みんな同じ条件だから」と言われているのを聞いていたから。

みんな同じ条件。

でも、みんな同じ条件ではない、とTは思った。推薦が決まっている子にとって、このテストの結果はほとんど関係ない。自分にとっては、内申に直結する。同じ練習をして、同じテストを受けて、結果が持つ意味が全然違う。

それでも、言えなかった。


テスト当日。Tは手応えのない答案用紙を出して、教室を出た。

帰り道、母親から

「どうだった?」

とLINEが来た。

「まあまあ」

と返した。

本当のことは書かなかった。数学は半分も解けなかった。英語の単語は半分しか覚えられていなかった。練習から帰って、ご飯食べて、風呂入ったら22時を過ぎていた。そこから勉強を始めても、頭に入らなかった。

「サッカーと勉強、両立できてる?」

母親からまたLINEが来た。

Tはしばらく画面を見つめてから、

「できてる」

と返した。


運動会が終わった後、クラスの打ち上げがあった。Tは練習があって行けなかった。

「お前、運動会も来なかったじゃん」

とクラスメイトに言われた。

「サッカーで」

とTは答えた。

「いつもサッカーじゃん」

笑いながら言われた言葉だったけど、Tには笑えなかった。

サッカーを言い訳にしているわけじゃない。でも、サッカーを言い訳にしているように聞こえる。そしてそれは、間違っていない気もした。


目次

グラウンドの外から、筆者が思うこと

以下は、指導者経験と保護者経験の両方を持つ筆者の個人的な見解です。正解は一つではないと思っていますが、参考になれば。


学校行事と練習が重なった時、どちらを優先すればいい?

個人的には、学校行事を優先できる環境であってほしいと思っています。運動会や合唱コン、文化祭は中学生のこの時期にしか経験できないものです。クラスで一緒に準備して、一緒に本番を迎える。その経験はサッカーでは代えられない。

練習を休むことへの罪悪感を子供が感じているなら、「行事を優先していい」と親がはっきり言ってあげてほしいです。

テスト前に練習を休むのは甘えなの?

甘えではないと思います。「みんな同じ条件」という言葉がよく使われますが、実際には同じ条件ではない。推薦が決まっている子と、内申を積み上げなければならない子では、テストの結果が持つ意味がまったく違う。

それを「みんな同じ」で押し込めてしまうのは、少し乱暴だと思っています。テスト前の数日間を勉強に充てることは、子供の将来への投資です。

子供が「両立できてる」と言っているが、本当に大丈夫なのか不安。

子供は親を心配させたくないから「できてる」と言いがちです。成績表や内申の推移を見ながら、客観的に判断してほしいです。

じわじわと下がっているなら、何かが後回しになっているサインです。「できてる?」と聞くより「最近、勉強と練習のバランスどう感じてる?」という聞き方の方が、本音が出やすいかもしれません。

クラスの行事に参加できなくて、クラスに居場所がなくなるのが心配。

これは軽視できない問題だと思っています。中学時代の3年間、クラスとの関係が薄くなっていくことは、学校生活全体への影響が出やすい。

サッカーのチームメイトとの絆は大事ですが、クラスとの関係も同じくらい大事です。行事だけでも参加できる環境を、チームと家庭で作っていけるといいと思います。

22時以降に勉強するのは効率が悪い。どうすればいい?

効率は確かに下がります。ただ、帰宅時間が遅い以上、完全には避けられない部分もある。できることとしては、移動時間の活用、朝の時間の確保、テスト範囲の優先順位をつけること。

全部を完璧にやろうとせず、「ここだけは絶対に取る」という絞り込みが現実的です。

登場する人物・団体はすべてフィクションです。でも、完全な作り話でもないかもしれません。

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この記事を書いた人

教員免許(中高保健体育)を持つ40代の元サッカー指導者。自身もトレセンにひっかかるくらいには経験があり、大学ではサッカーの試合における”流れ”をテーマに研究。息子がジュニアユースでプレーしたことをきっかけに、首都圏のJ下部・街クラブ・中高サッカーを徹底調査。その備忘録として本メディアを開設。

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