“サッカー王国”埼玉のトレセン完全ガイド|東西南北の地区構成から県トレ・ナショナルまで

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サッカーを頑張るお子さんを持つ埼玉県の保護者の方なら、「トレセン」という言葉を一度は耳にしたことがあるはずです。

「うちの子、地区トレセンに受かったけど、次は何があるの?」「東西南北ってよく聞くけど、どういう仕組み?」「県トレに入ったら、関東やナショナルにはどう繋がるの?」——こうした疑問に、まとめて答える記事が意外と見当たりません。

浦和レッズとRB大宮アルディージャという2つのJクラブ下部組織を擁し、FC LAVIDAやレジスタFCなどの強豪街クラブも多い「サッカー王国・埼玉」。その育成の土台を支えるトレセン制度は、東京都とはまた異なる独自の構造を持っています。

本記事では、埼玉県サッカー協会技術委員会(SFA)の公式情報をベースに、U-12からU-16まで全年代のトレセンの仕組みとスケジュールを徹底解説します。

※本記事の情報は、公式サイト・公式広報誌・保護者の声など、調査時点で収集できた範囲のデータに基づいています。実際の運営は年度・地区によって異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

目次

そもそも「トレセン」とは?

トレセンとは「ナショナルトレーニングセンター制度の略称です。

普段所属しているチーム(少年団やクラブチーム)の活動とは別に、選抜されたメンバーが集まって質の高いトレーニングを行う仕組みです。ここで重要なのは、チームとしての勝利ではなく、「個の技術・戦術・人間性を高めること」が目的であるという点。将来の日本代表につながる素材を発掘・育成するために、JFA(日本サッカー協会)が全国で展開しています。

全国共通のピラミッド構造は、下から順に以下の通りです。

地区トレセン → 都道府県トレセン → 地域トレセン(関東など全国9地域) → ナショナルトレセン

「地区トレセン」は都道府県ごとに様相が異なり、東京であればU-12年代は、ブロックトレセン(16ブロック)→地域トレセン(7地域)→東京都トレセンと連なっており、埼玉は、市区町村(市区町村をまたぐ場合あり)トレセン→地区トレセン(東部・西部・南部・北部)トレセン→県トレセンという階層があります。

埼玉が目指すサッカー像:「SFAフットボールフィロソフィー」

埼玉県のトレセンを理解するうえで、まず知っておきたいのが「SFAフットボールフィロソフィー」です。

2023年度に新たに策定されたこのフィロソフィーは、トレセン活動だけでなく指導者養成を含む埼玉県全体の育成ビジョンの根幹となっています。SFA技術委員会の山﨑茂雄FAコーチはSFA NEWSのインタビューで、地区トレセンにまでこのフィロソフィーを浸透させていく方針を語っています(出典:SFA NEWS No.124(2025年6月16日発行))。

ビジョン

SFA技術委員会が掲げるビジョンは3つです。

  • J-League/欧州5大リーグ所属選手数が日本一(日本代表)
  • 指導者とプレーヤーが、ともに成長し続ける
  • サッカーファミリーが増え続け、人生が豊かになる

単に強い選手を輩出するだけでなく、指導者の成長とサッカー文化の拡がりまで含めた、埼玉のサッカー全体のビジョンです。

「GREAT」であれ——価値観と行動指針

プレーヤーに関わるすべての大人が共有する価値観として、「つなぐ(伝統)」「ハードワーク」「クール」「チャレンジ」が掲げられています。

そして、選手に求める姿勢は「GREAT」の頭文字に集約されています。

  • Glory(栄光)
  • Rationale(論理的に)
  • Energetic(精力的に)
  • Aggressive(攻撃的に)
  • Technical(卓越した)

プレースタイル

「攻守における洗練されたテクニックと、強度の高いアグレッシブなプレーをベースに組織化された、論理的なフットボールスタイルで勝利することを伝統としていく」——これが埼玉県が目指すプレースタイルです。

プレーイングアイデンティティとしては、「スペースを作り出し、数的優位と個の能力を生かしてボールを支配し、得点する。ゴールに向かうために、スペースと相手をコントロールしてボールを奪い、ゴールを守る」と定義されています。

そして、その根底にある考え方は、自立した「個」がグループとなり、チームとなり、勝利を目指す。極めて重要なのは「自主性」と「判断力」というものです。

トレセン活動は、まさにこの「個」を高めるための場です。保護者としても、「トレセンでは何を重視しているのか」を知っておくと、お子さんの成長をより深く見守れるのではないでしょうか。

年代別プレーイングフィロソフィー

SFA技術委員会は、年代ごとに詳細なプレーイングフィロソフィーを策定しています。U-12とU-15では、攻撃・守備・攻守の切り替え(トランジション)の各局面で求められるアクションが具体的に定義されています。

たとえばU-12では

  • 攻撃局面のビルドアップにおいて「スペースを意識したポジショニング」「局面の繋がり(トライアングル)と攻撃方向の変化」「駆け引きのあるパス&コントロール&ドリブル」が求められます。
  • 守備では「即座のプレッシング(切り替え)」「スペースへのスプリント(ボール周辺)」「連続した動き(局面の変化に対応)」が挙げられています。

U-15になると

  • ビルドアップでは「幅・厚みとトライアングルを意識したポジショニング」「プレスを外し、フリーなボールホルダーを形成する」「優先順位を持ちサイドチェンジを交えて守備組織を崩す」など、より高度な戦術理解が求められます。
  • 守備でも「限定と追い込み(2度追い/ハイプレス)」「スペースマーキングからの予測と連動」「スライドと最終ラインの周到な準備(ポジション)」と、組織的なプレーが強調されています。

【U-12】小学生年代:埼玉独自のピラミッドと地区構成

ピラミッド型の階層構造(埼玉モデル)

埼玉県の小学生年代のトレセンは、3階層(地域によっては4階層)のピラミッド構造になっています。

① 地区トレセン(市町村単位)

トレセン活動の最初の入口です。各市町村単位で運営されており、所属チームの推薦や選考会を経てメンバーが選ばれます。

たとえば春日部市の場合、春日部U-12育成委員会がトレセン活動を運営しており、5年生・6年生を対象に月1〜2回の練習を実施。1月頃に新6年生(現5年生)の選考会、2〜3月頃に新5年生(現4年生)の選考会が行われ、12月には「春日部トレセン交流大会」として他地区との対外戦も実施しています(出典:春日部U-12育成委員会ブログ)。

こうした市町村レベルのトレセンが、埼玉県全域で活動しています。

2025年度からは、SFA技術委員会が4地区で「地区リードコーチ研修会」を実施し、「SFAフットボールフィロソフィー」を地区トレセンにまで浸透させる取り組みが始まっています。4月〜5月にかけてSFAフットボールセンターや4地区の高校で実施され、都トレセンのスタッフも見学に来るなど注目を集めています(出典:SFA NEWS No.124)。

② 県東西南北トレセン(4地区)

市町村トレセンから推薦された選手が集まる、県内の広域トレセンです。埼玉県は大きく東部・西部・南部・北部の4地区に分かれています(出典:SFA技術委員会 U-12ページ)。

各地区の選考会を通過した選手が、定期的なトレーニングや地区間の交流戦に参加します。

  • 人数(目安): 各地区40〜45名前後※1
  • 活動頻度: 月1〜2回程度のトレーニング+交流戦

※1:トレセン人数はいずれも、保護者の声や掲示板情報をもとにした目安です。公式に公表された数値ではなく、年度・地区・カテゴリによって変動します。

4地区のトレセン開催日はそれぞれ異なりますが、SFA技術委員会の山﨑FAコーチはほぼすべての地区の活動に参加し、4地区への「見える化」を進めているとのことです(出典:SFA NEWS No.124)。

③ 埼玉県トレセン(県TC)

埼玉県の頂点です。県東西南北トレセンからの推薦を受けた選手が県トレセン選考会に臨み、合格者が県トレセンメンバーとなります。

  • 人数(目安): 約60名(前半グループ・後半グループに分かれて活動することが多い)
  • リードコーチ: 2025年度からは石倉氏(元浦和レッズ・RB大宮アルディージャスクールマスター)が就任。浦和レッズの育成部門(男子アカデミーセンター・スカウト)からU-12リードコーチへの派遣という形です。
  • アシスタントコーチ: 伊東真吾氏(RB大宮アルディージャ)のほか、2025年度からは吉田氏(横大荒FC・元大宮アルディージャジュニアユースU-13コーチ)も加わっています。

出典:SFA技術委員会 U-12ページSFA NEWS No.124

県トレセン選考会は例年3月頃に地区トレセン選考、5月頃に県トレセン選考会が実施されています(出典:埼玉県U-12サッカー連盟 スケジュール)。

4地区の構成エリア

埼玉県トレセンの4地区がどのエリアをカバーしているか、保護者にとっては「うちの市はどこに入るの?」が一番の関心事でしょう。以下は、4種リーグ戦や高体連の支部構成、SFA技術委員会の各地区スタッフ所属先などから推定した構成です(※公式に市町村の完全な一覧は公開されていないため、複数の公式ソースからの推定を含みます)。

南部地区

さいたま市、川口市、蕨市、戸田市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、富士見市、ふじみ野市、三芳町、上尾市、桶川市、北本市、鴻巣市、伊奈町 ほか

南部地区は埼玉県で最も人口が多く、チーム数も圧倒的に多いエリアです。4種リーグ戦における南部地区の区分は以下の通りです(出典:埼玉県U-12サッカー連盟 リーグ戦ページ)。

  • さいたま市(Aブロック〜Hブロック以上に細分化。チーム数が非常に多い)
  • 北足立北部(上尾市・桶川市・伊奈町・北本市・鴻巣市)
  • 北足立南部(川口市・蕨市・戸田市・新座市・朝霞市・志木市・和光市)

市区町村単体、またはチーム数や選手人数によっては、エリアをまたいでトレセンがありますが、逆に主要エリアでは市区町村をさらに分けています。たとえば、さいたま市内の南部(浦和エリア)では、さらに東西南北の4つのトレセン区分があり、そこからの選抜として「浦和トレセン(FC浦和として活動)」という段階があります。

さいたま市北部にもトレセンがあり、さいたま市以外のエリアも市区町村のトレセンのさらに上位に「北足立北部」「北足立南部」のトレセンがあるなど、人口密度に応じた入れ子構造になっています。

南部地区には浦和レッズジュニア・RB大宮アルディージャジュニアの両Jクラブ下部組織のホームタウンが含まれるため、トレセンのレベルも県内で最も高いと言われています。

東部地区

春日部市、越谷市、草加市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町、久喜市、加須市、羽生市、蓮田市、白岡市、杉戸町、宮代町、幸手市 ほか

レジスタFCなどの強豪クラブチームが所在するエリアです。草加トレセン、加須トレセンのように市単位のトレセンもあれば、吉松トレセン(吉川市・松伏町エリア)、八潮越谷トレセン(八潮市・越谷市エリア)など、複数の市や町を束ねたエリアでトレセン活動が行われていることもあります。

西部地区

川越市、所沢市、飯能市、狭山市、入間市、ふじみ野市、富士見市、三芳町、坂戸市、鶴ヶ島市、日高市、毛呂山町、越生町、東松山市、小川町、滑川町、嵐山町、吉見町、川島町、鳩山町、ときがわ町 ほか

4種リーグ戦では、西部地区は「川越入間北」(川越市・坂戸市・ふじみ野市・富士見市・三芳町・毛呂山町・越生町・鶴ヶ島市)、「所沢入間南」(所沢市・入間市・飯能市・日高市・狭山市)、「東松山比企」(東松山市・小川町・滑川町・嵐山町・吉見町・川島町・鳩山町・ときがわ町)の3エリアに分かれています。

市町村単位のトレセンとしては、川越トレセン、所沢トレセン、狭山市トレセン、入間トレセンのように市単位のものに加え、飯能日高市トレセン(飯能市・日高市エリア)や比企トレセン(東松山市・小川町などの比企エリア)のように複数市町を束ねた形のトレセンもあります(参考:フィグラーレ狭山FC トレセン活動報告)。1FC川越水上公園、レアル狭山Jr、東松山ペレーニア、BOCA HANNO飯能などの強豪クラブが所在するエリアです。

北部地区

熊谷市、深谷市、本庄市、行田市、秩父市、寄居町、神川町、上里町、美里町 ほか

4地区の中で最もチーム数が少ないエリアで、4種リーグは5ブロック編成です(南部20、西部12、東部11に対して北部は5)。ESPIRITO深谷、FC CIVETTA深谷、江南南SS、熊谷FC・大里などが活動しています。チーム数が限られるぶん、市単位よりも広域でのトレセン構成が中心になると考えられます。

【保存版】U-12 選考・活動スケジュール

小学生年代のトレセンは、トレーニング活動に加えて、学年ごとに「目標となる大会」があります。4年生の冬から始まる選考の流れを時系列で整理しました。

4年生(冬〜春):すべての始まり

新年度U-11(5年生)に向けた市町村トレセンの選考会が、各市で開催されます。春日部市の例では、2月末〜3月に新5年生の選考会が行われています。

各チームからの推薦やセレクションで合否が決まり、合格者は市町村トレセンの活動に参加。ここでの評価次第で、上位(県東西南北トレセン)への推薦につながります。

5年生(通年):地区トレセンでの活動と県東西南北への挑戦

市町村トレセンでの月1〜2回の活動が通年で続きます。この年代では、各地区での交流大会(春日部トレセン交流大会など)も開催されます。

5年生の冬〜6年生の春にかけて、県東西南北トレセンの選考会への推薦が始まります。

6年生(春:3月〜5月):県トレセン選考会

例年3月頃に県東西南北トレセンの選考、5月に県トレセン選考会が実施されます(出典:埼玉県U-12サッカー連盟 2025年度スケジュール——「2025/05/24 埼玉県トレセン選考会」の記載あり)。

県東西南北から推薦された選手が一堂に会し、東西南北でそれぞれグループを作って対抗戦形式で選考が行われます。ここで「県トレセンに残る子」「関東トレセンに推薦される子」「各地区トレセンに戻る子」に分かれていきます。

6年生(夏〜秋):関東への挑戦

県トレセンのメンバーは、関東レベルのトレセン活動に参加します。

  • 関東M-T-M交流戦(9月頃、群馬県前橋市等で開催)
  • 関東トレセン交流会(茨城県鹿嶋市等で開催)
  • 関東選抜U-12サッカー大会(3月頃、群馬県前橋市等で開催)

これらの場で評価された選手が、ナショナルトレセンU-12(関東開催)への選考対象となりますが、ナショナルトレセンU-12関東の活動は年度によって開催・未開催があるようです。2024年度は1月に茨城県鹿嶋市等で開催されており、宿泊型の集中トレーニングが行われました。(出典:SFA技術委員会ブログ ナショナルトレセンU-12関東報告)。

【U-13〜U-15】中学生年代:「Whole SAITAMA」で臨む3種トレセン改革

中学年代のピラミッド(埼玉モデル)

中学生年代になると、トレセンの階層構造が変わります。小学生年代にあった「市町村トレセン」がなくなり、県東西南北トレセン(4地区)→ 県トレセン の2段階が基本です。

  • 県東西南北トレセン: 各地区から推薦された選手で構成。中体連(部活)の選手はチーム顧問から、クラブチームの選手はチームからの推薦でエントリーします。
  • 県トレセン: 約30名前後で年間を通じて活動。

SFA技術委員会のサイトでは、U-13からU-16まで各カテゴリごとに「東部・西部・南部・北部」のスタッフページが設けられており、各地区に「中体連代表者」と「クラブ代表者」が分かれて置かれていることが確認できます(出典:SFA技術委員会 U-13東部スタッフ)。

2025年度の3種トレセン改革:「Whole SAITAMA」

SFA NEWS No.124の山﨑FAコーチのインタビューによると、2025年度は中学年代のトレセンに大きなテコ入れが行われています(出典:SFA NEWS No.124)。

主な変更点は以下の通りです。

  • 3種トレセンダイレクターの刷新: U-15・U-14・U-13の3カテゴリを統括するトレセンダイレクターとして、それまでU-16のトレセンダイレクターだった大森氏が就任。3種(中学年代)から2種(高校年代=U-16)への接続を「種別任せ」ではなく「Whole SAITAMA」(埼玉全体)として取り組む方針が示されました。
  • 県クラブユース連盟と県中体連の協力体制: これまで課題だった県クラブユース連盟と県中体連の連携を強化。2月に初の合同研修会が実施され、5月には県中体連が主催する選考会を県クラブユース連盟にも公開。県クラブユース連盟の指導者も選考に参加できるようになりました。
  • 3種の4地区トレセンの改善: 選手の自由度を高め、中体連を含む連戦への対応も考慮した運営に変更されています。

U-13〜U-15のスケジュール概要

U-13(中1):新たなスタート

中学に上がるタイミングで、トレセンの選考がリセットされます。

U-13の初期メンバーは、4種(小学生年代)のナショナルトレセン経験者やU-12県トレセンからの持ち上がりが中心。ただし、J下部組織(浦和レッズ・RB大宮アルディージャ)に進んだ選手は、基本的にU-13〜U-15の県トレセンには参加しません。

夏前くらいからチーム推薦による県東西南北の選考会が始まり、秋以降に県トレセンの活動が本格化します。

県トレセンの活動は、SFA技術委員会ブログで定期的にレポートされています。たとえば他県トレセン(神奈川県・茨城県など)との交流戦や、テーマ別のトレーニング(「ビルドアップ」「守備」など)が行われています(出典:SFA技術委員会ブログ トレセンカテゴリ)。

U-14(中2):ナショナルトレセンへの最短ルート

中学年代の大きな目標となるのが、JFA主催のナショナルトレセンです。2025年度まではナショナルトレセンU-14として、前期・中期・後期の年3回(各64名)、全国規模で開催されていました(出典:JFA ナショナルトレセンU-14 2025年)。

2026年度からはナショナルトレセンU-15が創設され、年4回(2月:Jヴィレッジ、4月・6月:JFA夢フィールド、9月:時之栖)の開催が予定されています(出典:JFA ナショナルトレセンU-15 2026年)。
※JFAのサイト上にはU-14のページも残っており、U-14とU-15が併存する形になる可能性もあります。

いずれの年代でも、県トレセンから関東トレセンの選考会に推薦され、そこで評価されるとナショナルトレセンへの切符が手に入るという流れは共通です。

SFA技術委員会ブログでは、U-14県トレセンの活動報告が定期的に掲載されており、FC東京U-15深川との交流戦や、山梨県トレセンとの関東交流戦(SFAフットボールセンターにて30分×4本)なども実施されています(出典:SFA技術委員会ブログ)。

U-15(中3):J下部の合流

中3の後半になると、それまで県トレセンに参加していなかったJ下部組織(浦和レッズ・RB大宮アルディージャ)の選手が合流します。これにより、メンバーの大幅な入れ替えが発生するのがJアカデミーを持つ各都県共通の特徴です。

U-15の県トレセンから選抜されたメンバーは「県トレ選抜」として関東トレセン交流戦U-15に参加します。

SFA NEWS No.124によると、少年男子(U-16/国体)は「SFAフットボールフィロソフィー」が新たに浸透し始めており、関東トレセンリーグの1部・2部でメンバーが入れ替わるラージグループの活動を通じて、スタッフ間の価値の共有とリレーションスピードの研鑽が行われています。RB大宮アルディージャからも新たにスタッフが加わるなど、体制が強化されています(出典:SFA NEWS No.124)。

埼玉独自のポイント:J下部とトレセンの関係

埼玉のトレセンを語る上で避けて通れないのが、Jクラブ下部組織との関係です。

浦和レッズとRB大宮アルディージャという2つのJクラブを擁する埼玉では、U-12の県トレセンにはJ下部の選手も参加しますが、U-13以降のトレセンには基本的に参加していないようです。J下部の選手は日常の環境が高レベルであるため、県レベルのトレセン活動は免除され、「関東」や「ナショナル」の選考段階から合流してくる仕組みです。

U-15の終盤〜U-16でJ下部の選手が県トレセンに合流すると、街クラブ・中体連出身の県トレメンバーの多くが入れ替えになります。

ただし、「J下部に行けなかった=もうチャンスがない」というわけでは決してありません。 FC LAVIDA、クラブ与野、グランデ、1FC川越水上公園、といった街クラブからも県トレセン・関東トレセンに食い込む選手は毎年出ており、高校サッカーで花開く選手も数多くいます。

【U-16】高校生年代:国体(国スポ)への道

U-16になると、トレセン活動の性格が変わります。事実上の「国民スポーツ大会(国スポ)少年男子・埼玉県代表」の選考・強化活動となります。

SFA技術委員会の国体少年男子ページによると、U-16のスタッフは高校サッカー部の指導者やJクラブのコーチで構成されています(出典:SFA技術委員会 国体少年男子ページ)。

メンバーの構成は、浦和レッズユース・RB大宮アルディージャU-18の選手が大半を占め、昌平高校・西武台高校・細田学園高校などの強豪校からも数名が選出されるのが例年のパターンです。

2025年度の変更点:4地区トレセンの廃止と日程前倒し

SFA NEWS No.124によると、2025年度からU-16の4地区トレセンは廃止されています。さらに、来年度(2026年度)からは関東ブロック大会が8月から6月に前倒しされる予定で、チームづくりのスケジュールが大きく変わるとのことです(出典:SFA NEWS No.124)。

主な活動:

  • 関東トレセンリーグU-16(4月〜6月、各都県のU-16トレセンチームによるリーグ戦。1部・2部制)
  • 国民スポーツ大会 関東ブロック大会(8月頃 → 2026年度から6月に前倒し予定)

2024年度の関東ブロック大会では、埼玉県は代表決定戦で千葉県にPK戦で惜敗し、本大会出場を逃しています(出典:SFA技術委員会トップページ)。

GKプロジェクト:ポジション特化型のトレセン

埼玉県のトレセンには、フィールドプレーヤーとは別にGK(ゴールキーパー)専門のトレセン活動が存在します。SFA技術委員会の中に「GKプロジェクト」が設けられており、東南地区・西部地区・北部地区の3エリアでGK専門のトレセンが運営されています(出典:SFA技術委員会 GKプロジェクトページ)。

また、GKキャンプも年代別に実施されており、U-15向けとU-13・U-14向けの2つが確認できます。

GKはチームに1人しかいないポジションです。少年団や小規模クラブではGKの専門的なトレーニングが受けにくいため、GKトレセンは特に貴重な機会です。お子さんがGKをやっている保護者の方は、所属チームの指導者にGKトレセンへの参加について相談してみるとよいでしょう。

県トレセンに入ったら、具体的に何をするの?

SFA技術委員会のブログでは、県トレセンの活動内容が定期的にレポートされています(出典:SFA技術委員会ブログ トレセンカテゴリ)。その内容を見ると、チームの練習とは一味違う、「個」にフォーカスした活動であることがわかります。

テーマ別トレーニング

各回にテーマが設定されています。たとえばU-14県トレセンでは「ビルドアップ」をテーマに、ウォームアップ→4vs4+2フリーマン→6vs6+2GK→11vs11のゲームという流れでトレーニングが行われた回もあります。「守備」をテーマに、スペースから人に対して強く行くことを求めた回もあります。

これらのテーマは、先述した「SFAフットボールフィロソフィー」や年代別プレーイングフィロソフィーに沿って設計されています。SFA NEWS No.124の山﨑FAコーチのインタビューでも、C級ライセンスやD級ライセンスの養成講習会にまで「SFAフットボールフィロソフィー」の内容を取り入れ始めていることが語られており、トレセンだけでなく埼玉のサッカー全体で共通言語として浸透させていく方向性が示されています。

他県トレセンとの交流戦

県内で閉じた活動だけでなく、他県のトレセンとの交流戦が定期的に組まれています。神奈川県トレセン、茨城県トレセン、山梨県トレセンとの対戦例が報告されています。

Jクラブとのトレーニングマッチ

U-15の県トレセンでは浦和レッズとのトレーニングマッチ(30分×3本)が実施された記録もあります。試合前のミーティングでは「コーチングとコミュニケーション」がテーマとして設定され、多くの選手とサッカーを通じて会話することが求められました。

山﨑FAコーチが語る「共感」と「Fundamental」

SFA NEWS No.124のインタビューで、山﨑FAコーチは県トレセンの指導について興味深い発言をしています。各カテゴリのコーチに対して、本質的なものへの「共感」を大切にしてほしいと伝えているとのこと。たとえば「ポジションを取るようにしましょう」という共感を求めるとともに、U-12もU-16も共通して「Fundamental(基礎)」が必要であること、年齢関係なくサッカーの基本に立ち返ることの重要性を強調しています。


トレセンに選ばれることのメリット

① 質の高いトレーニング環境

自チームでは体験できない、高いレベルの「個」同士で切磋琢磨できる環境が得られます。JFA公認ライセンスを持つ指導者から直接指導を受けられることも大きな魅力です。埼玉県の場合、U-12のリードコーチに元Jクラブのスクールマスター経験者が就任するなど、プロクラブの育成メソッドに触れられる環境です。

② 進路へのアピール材料

中学生年代では、県東西南北トレセン以上の実績は高校サッカーの進路にも影響します。特に埼玉県では、私立高校の「確約」面談においてトレセン歴を申告できるケースがあります。地区トレセンでも内申書に記載可能とされています。

③ 視野の広がり

所属チームとは異なる選手たちとの交流を通じて、サッカーへの視野が広がります。関東トレセンやナショナルトレセンまで進めば、全国レベルの選手との出会いが待っています。

④ 指導者にとっても成長の場

SFA技術委員会は、トレセンを選手だけでなく指導者の成長の場としても位置づけています。同じ地区の中体連・クラブチーム・高体連の指導者が交わることで、普段は接点のない指導者同士の学び合いが生まれます。SFA NEWS No.124では、

「中体連の方とクラブの方と高体連の指導者の交流はなかなかないようです。こういう場があって、監督さんが集まってくれてその地区を盛り上げてくれるということ」

が語られています。地区トレセンを活用したリフレッシュ研修会も計画されており、指導者がライセンスを取得するきっかけにもなっています。

選ばれなくても大丈夫な理由

一方で、トレセンに選ばれなかったからといって、サッカーの将来が閉ざされるわけではありません。

小学生年代(4種)のトレセンで選ばれていた選手のうち、中学生年代まで残っている選手は一部です。成長のタイミングは子どもによって異なり、小学生時代に選ばれなかった選手が中学・高校で大きく伸びるケースは珍しくありません。

特に小学生年代では、4月生まれと3月生まれの体格差(相対年齢効果)が選考に影響しやすい傾向があります。目先の合否に一喜一憂せず、日々のトレーニングで「個」を磨き続けることが何より大切です。

SFAフットボールフィロソフィーにおいても、トレセンだけでなく地区トレセンや日常のチーム活動にまで共通のビジョンを浸透させようとしています。つまり、トレセンに入る・入らないに関わらず、埼玉県でサッカーをする子どもたち全体が同じフィロソフィーのもとで育っていく——そういう環境づくりが進められているのです。

埼玉トレセン ロードマップまとめ

4年生から高校1年生(U-16)までの全体像を一覧にまとめます。

スクロールできます
学年やること目指せる舞台
小4
(冬〜春)
市町村トレセン選考会を受ける
小5
(通年)
市町村トレセンで活動
→ 県東西南北への推薦
市トレセン交流大会
小6
(春)
県東西南北トレセン選考
→ 県トレセン選考会(5月頃)
小6
(夏〜冬)
県トレセンで活動関東M-T-M交流戦 ・関東トレセン交流会・ ナショナルトレセンU-12関東(あれば)・関東選抜U-12大会(3月)
中1チーム推薦で県東西南北選考会
→ 県トレセン
関東トレセンキャンプU-13
中2県トレセンで活動
→ 関東トレセン選考会
ナショナルトレセンU-14/U-15、関東MIXトレセンマッチ
中3県トレセン活動
(J下部が合流)
関東トレセン交流戦U-15
高1県トレセン
≒ 国体代表の選考・強化
関東トレセンリーグU-16 → 国スポ関東ブロック大会

※GKは別途、GKプロジェクトによる専門トレセン(東南・西部・北部の3エリア)が通年で活動

おわりに

埼玉県のトレセン制度は、市町村レベルの草の根から、県東西南北、県トレセン、そして関東・ナショナルへと、段階的にステップアップしていく構造になっています。

東京都のように16ブロック→7地域という細かい区分ではなく、東部・西部・南部・北部の4地区というシンプルな構造の一方で、南部地区の内部には浦和の東西南北→FC浦和、市区町村→北足立南部・北部という構造があるなど、人口やチーム数に応じた独自の工夫が見られます。

2023年度に策定された「SFAフットボールフィロソフィー」は、単なるスローガンではなく、年代別のプレーイングフィロソフィーとして具体的なアクションレベルまで落とし込まれ、地区トレセンや指導者養成講習会にまで浸透が進んでいます。2025年度は「フェイズ2」と位置づけられ、3種トレセンの大幅な改革やU-16の4地区トレセン廃止など、大きな変化の渦中にあります。

また、浦和レッズ・RB大宮アルディージャという2つのJ下部組織との関係も、埼玉ならではのポイントです。J下部がU-13〜U-15の県トレセンには基本的に不参加で、U-15終盤〜U-16で合流するという「分離と合流」の構造は、保護者が中学年代の育成環境を考える上で知っておきたい重要な情報です。

トレセンは、あくまで育成のひとつの手段です。選ばれること自体がゴールではなく、そこで得た刺激や経験を自チームに持ち帰り、「個」を高め続けることが何より大切。お子さんのサッカー人生を長い目で応援していきましょう。

参考情報・リンク集

公式ソース

市町村トレセンの実例

免責事項

本記事は、埼玉県サッカー協会技術委員会(SFA)の公式サイト・公式広報誌(SFA NEWS)・各市町村の育成委員会ブログ・JFA公式サイトなど、調査時点(2025年〜2026年)で収集できた公開情報をもとに作成しています。

トレセンの選考基準・人数・スケジュール・地区構成などは、年度や地区によって変更される場合があります。また、一部の情報は保護者の掲示板での体験談を参考にしており、公式に発表されたものではありません(該当箇所には※印で注記しています)。

最新の正確な情報については、お子さんの所属チームの指導者や、埼玉県サッカー協会技術委員会の公式サイトにてご確認ください。

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サッカーと勉強を両立したい選手・保護者様へ

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この記事を書いた人

教員免許(中高保健体育)を持つ40代の元サッカー指導者。自身もトレセンにひっかかるくらいには経験があり、大学ではサッカーの試合における”流れ”をテーマに研究。息子がジュニアユースでプレーしたことをきっかけに、首都圏のJ下部・街クラブ・中高サッカーを徹底調査。その備忘録として本メディアを開設。

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